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基礎研究・学生教育

運動器科学

研究室主任 宮本 健史
概要

骨や関節、筋肉といった運動器の障害により、日常生活動作レベルの低下を余儀なくされる患者は多い。整形外科では投薬等による保存療法や外科的な手法を用いて患者の障害を取り除くよう診療を行っている。しかし一方で、根本的な疾患発症機構が解明出来れば、外科的な治療が必要な状態にまでいくつく前に、予防が可能になる症例も多い。当研究室ではこういった疾患に注目し、「研究」という手法を用いて疾患と対峙している。これは、後縦靭帯骨化症や大腿骨頭壊死症のような厚労省指定の難病のみならず、意外にも解明されていない骨粗鬆症や関節リウマチ、廃用性筋萎縮など、幅広い疾患群の病態の解明とその予防を目的に研究に取り組んでいる。

研究室主任

中山 ロバート Robert Nakayama

専任講師
卒業年度2001年
専門骨軟部腫瘍、がん骨転移
留学2009年4月〜6月 ウィーン医科大学整形外科、
2013年7月〜2016年3月 ハーバード大学医学部
ダナ・ファーバー癌研究所
実績紹介

世界で初めて破骨細胞の細胞融合因子を発見!

破骨細胞という骨を吸収する生体唯一の細胞は、分化の最終段階で融合して巨大化して骨を溶かす。我々は世界で初めてこの破骨細胞の融合因子DC-STAMPを同定し、遺伝子欠損マウスを作製してそれを証明した。右側のDC-STAMP欠損マウス由来の破骨細胞は全く細胞融合が起こっていないことが分かる。

破骨細胞の細胞融合因子は1つではなかった!

我々は破骨細胞の第2番目の融合因子としてDC-STAMPと名前の良く似たOC-STAMPを世界で初めて同定し、遺伝子欠損マウスを作製してそれを証明した。右側のOC-STAMP欠損マウス由来の破骨細胞は全く細胞融合が起こっていないことが分かる。

新たな破骨細胞分化制御系を発見!

破骨細胞分化はRANKLの刺激で様々な分子の活性化などを経て、最終的には転写因子であるNFATc1の活性化により進行するポジティブな制御系が知られていた。我々は、ともに転写抑制因子であるBlimp1-Bcl6のネットワークによるネガティブな制御も、破骨細胞分化に必須であることを新たに発見した。

関節リウマチの治療標的を発見!

関節リウマチは多発性の関節炎と関節破壊を特徴とする慢性得炎症性疾患である。我々はSTAT3がその治療標的となることをつきとめた。未治療では関節が破壊され、サフランO(赤)で染色される関節軟骨もほとんど残っていないのに対し(左)、STAT3阻害剤で治療すると関節軟骨も関節裂隙も保たれる(右)。

アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の変異は骨粗鬆症のリスクになる!

ALDH2の変異は日本人の半数近い人にみられ、お酒に弱い原因となっている。この変異型Aldh2 (Aldh2*2)をもつ遺伝子改変マウスは野生型(WT)に比べてX線写真で骨のX線透過性が亢進し、骨密度が低下していることが分かる。

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