臨床・研究・教育と、
幅広く活躍の場があるのもメリット。
勝山 詠理 KATSUYAMA ERI
東京都済生会中央病院
2005年に慶應義塾大学医学部卒業後、平塚市民病院にて初期研修。
その後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局。同大学病院入職。
2008年より関連病院および大学病院に勤務。
2011年より慶應義塾大学医学部大学院にて骨代謝を中心に研究し、2015年博士号取得。
2015年より東京都保健医療公社大久保病院に勤務。
2015年結婚。2016年第一子(長男)をもうける。産休・育休を経て、2017年4月より復職。
2018年第二子(長女)をもうける。2019年10月より復職。
2020年4月より東京都済生会中央病院に勤務。
女性として整形外科医になることに不安はありましたか?
また、整形外科医を目指された理由を聞かせてください。
女性としての整形外科医は、特に不安はありませんでした。
学生の頃は内科を目指していました。正直手術は苦手でした。スーパーローテートで整形外科を選択し、初めて入った手術が転移性脊椎腫瘍。痛みで術前全く動けなかった患者さんが、術後全く痛みなく動けるようになったのを見て感動したのがきっかけです。また、多くの他の科と違い、整形外科は「機能外科」で、患者さんがその治療・手術の効果を実感できるところもやりがいがあると感じたからです。生死に関わる疾患・外傷を扱うことは少ないですが、その分、命に対して変に感覚が麻痺しないことも、ある意味いいことだなと思っています。
整形外科医になり、これまで関連病院はどこに勤務されましたか?
実際にそこでの研修はどうでしたか?
大学で1年学んだ後、さいたま市立病院、平塚市民病院、荻窪病院、さらに大学チーフ、大学院を経て、今は大久保病院に勤務しています。
どの病院でも頼れる優しい先輩方がいらっしゃり、とても丁寧に手術を教わりました。
整形外科の手術には腕力など体力がいるものもありますが、実際にはどうでしたか?
みなさんに聞かれますが、思ったほど腕力・体力は使いません。私は下肢班ですが、膝や下肢を持つのはコツがあって、実はそこまで苦にはなりません。手術も外科に比べたらひとつひとつが断然短いですから集中して取り組めますし、達成感も格別です。唯一、脊椎の手術は筋肉をより分けたり骨を機械で噛んだりする作業に意外と腕力・握力が必要で、男性にはかなわないなあと思っていますが、脊椎班にも女性医師がいらっしゃるので、もしかしたらちゃんとコツがあるのかもしれませんね。
それぞれの先生が各臨床班に属され、違った形で、
整形外科の診療、研究、教育に従事されています。
その中でどのような医師像を目指されていますか?
性別に関係なく活躍できるのが医師のいいところだと思います。なので、まずは女性ということを意識せずに一個人の整形外科医として診療に真摯に取り組みたいと思っています。でも、やはり見た目は女性ですから(笑)、女性らしい視点を持つことで圧倒的に女性が多いコメディカルと円滑に業務が進むよう心がけています。
皆さん、結婚と出産を経験されていますが、
仕事と両立するに当たって心がけられている事を教えてください。
まだ仕事に復帰して間もないので、試行錯誤の毎日です。子供は早寝早起きなので、私も早寝早起きし、病院に早く到着して患者さんの状況を把握し、雑務をこなしてから、1日の診療を開始するようにしています。
整形外科は男性が占める割合が他科に比べると多いですが、
その中で実際に感じたことを教えてください。
先輩も同期も分け隔てなく接してくれるので、男性が多いことで困ったことはありません。チームで患者さんに取り組めるので、診療中はもちろん、診療後の飲み会なども、和気あいあいとしていて楽しいです。そんな中、たまに女性扱いしてもらえるのもちょっと嬉しいです。女性が少ない分、女医同士の結束力も強く、女医だけで集まって食事会したりするのも楽しいです。
女性医師として慶應義塾大学の専攻医プログラムを選ぶメリットは?
出産時にはメンバーに穴ができてしまい心苦しかったのですが、大学から外来や手術助手にパート医を派遣していただき、減員を乗り切ることができました。医局員が大所帯である慶應だからこそ、やむを得ない欠員が出てもカバーし合えます。また、臨床・研究・教育と幅広く活躍の場があるのもメリットでしょう。結婚・出産後は働き方にも工夫が求められますので、大組織に所属しておけば状況に応じて勤務形態を選択できていいと思います。
将来を悩まれている女性研修医に一言
整形外科は(少なくとも慶應の整形外科は)、女性にとってとても働きやすいところです!手術に興味があるなら、みんなでワイワイ楽しく診療したいなら、整形外科をお勧めしますよ!