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2017年

2017年11月27日

大久保寿樹君 Japan Neuroscience Society (JNS; 日本神経科学学会) – Society for Neuroscience (SfN; 北米神経科学学会) Exchange Travel Award 受賞

2017年11月11日-15日にアメリカのワシントンD.C.で開催されたSociety for Neuroscience (SfN; 北米神経科学学会)の第47回 Annual Meetingにおいて、大久保寿樹君(88回)が、演題名“Transplanted human iPS cell-derived neuronal precursor cells promote motor functional recovery after chronic spinal cord injury”で、2017年度のJNS-SfN Exchange Travel Awardを受賞した。北米神経科学会(SfN)は、神経科学分野の研究における世界最大級の学会であり、毎年3万人以上の神経科学を扱う臨床医や基礎医学研究者が一堂に会し、国際的かつ活発な議論が行われる。毎年、日本神経科学学会(JNS)とSfNとでexchange travel award programを行っているが、本賞は日本からSfN大会へ参加・発表を行う若手研究者の中で優れた業績をあげた者に与えられるものである。多数の応募者の中から、5名が選ばれ、そのうちの1人に大久保君が選考された。
大久保君は2014年4月から大学院医学研究科博士課程へ入学後、整形外科中村雅也教授、生理学岡野栄之教授の指導の下、ヒトiPS細胞を用いた脊髄損傷の細胞移植研究に従事している。今回の受賞研究は、慢性期脊髄損傷に対するiPS細胞移植の治療効果を検討した内容である。大久保君の所属する脊髄再生の研究チームでは、これまで亜急性期の脊髄損傷モデル動物に対し、ヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞移植の有効性を報告している。しかし慢性期脊髄損傷に対し、細胞移植治療単独で有効性を示した報告は国内外を含め極めて少ない。大久保君はこれまで、Notchシグナルを阻害する薬剤(Gamma secretase inhibitor; GSI)を用い、移植する前の神経幹/前駆細胞を終末期ニューロンへと分化させることにより、移植後の腫瘍化が抑制できることを報告した (Stem Cell Reports, 2016)。本研究ではその効果を利用し、慢性期脊髄損傷へ移植したところ、GSI前処理によって誘導した細胞を移植した群において、有意な運動機能の改善を認めた。しかし、亜急性期脊髄損傷に対する細胞移植治療の効果と比較し、その改善率は軽度であったため、今後は軸索伸長を促進する薬剤やリハビリテーションの併用などの集学的な治療を行うことで、機能改善の向上を目指していきたいと考えている。
脊髄再生研究グループでは、ヒトiPS細胞を用いた移植治療の臨床応用を目指している。大久保君が発表した本研究内容は、安全性及び有効性の観点から臨床応用に向けて非常に重要な結果と考えており、今後のさらなる展開が期待される。


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