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2017年

2017年07月05日

二木康夫君(整72回) 三四会北島賞を受賞

この度は医学部最高峰の学術賞である三四会北島賞の栄誉を賜り、岡野栄之医学部長、選考委員の先生方、北里家の皆様、三四会の諸先生方、整形外科同窓の先生方に心より感謝申し上げます。私が標題の道に足を踏み入れたのは「関節軟骨は血行が乏しく一度破壊されると自然に修復することはない」という1743年のHunterらの命題に興味を抱いたからです。これは270年たった今も解決されることはなく、本邦では約8万件/年の人工膝関節置換術(TKA)が行われています。整形外科へ入局した当時は関節リウマチ(RA)の炎症性関節破壊に興味があり、生物学的な視点で関節破壊機序の解明に着手しました。私の学位研究となったインターロイキン1トランスジェニックマウスは単一のサイトカインの過剰発現でRA様の関節破壊を再現できたとして当時は大変注目されました。2000年代に入り、生物学的製剤が開発されRAのTKA数は減少する一方、変形性関節症(OA)のTKAは増加の一途を辿りました。当時は、大腿四頭筋の切開を最小限にとどめる低侵襲TKAの導入に着手しました。リハビリ期間の短縮に成功しましたが、一方でTKA患者の活動性の上昇は、金属イオンの発生、インプラントの弛みや摩耗など素材関連の合併症を生みました。基礎研究で培った手法でこれらの有害事象を明らかにし、今日の人工関節素材の進歩に貢献できたことは本当に幸運だったと感じています。
素材の問題が解決した現在は、TKA患者の満足度の問題が取り上げられるようになりました。約20%以上の患者で痛みはとれても‘違和感’が残存しています。これを受けて私は下肢の軸の問題に注目しました。これまで半世紀にわたり、TKA時に膝は真っ直ぐに矯正することが常識とされてきました。しかし、生来のO脚を強制的に真っ直ぐにすることで膝の回転軸が変位することに気づきました。現在、回転軸を温存しTKA後の‛違和感’を軽減する臨床研究を行っております。
TKAの歴史は70年続きましたが、未来は間違いなく軟骨再生医療の方向へ進んでいくと思われます。膝関節治療の歴史は生物学と材料工学の進歩と共に歩んできた道であり、今後も広い視野で膝関節治療の発展に貢献していきたいと思います。末筆ながら、研究のご支援を頂いた戸山芳昭教授、ご推薦頂いた松本守雄・中村雅也両教授、放射線科百島祐貴講師と技師の方々、脊椎脊髄グループ、整形外科学教室、病棟、外来、関連病院、義塾研究連携推進本部、田中医科器機製作所の皆様のご支援に深甚なる謝意を表します。


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