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2017年

2017年06月02日

船尾陽生君(整80回) 名越慈人君(整81回) 辻収彦君(整82回) 第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会 English Presentation Awardトリプル受賞

2017年4月13-15日に札幌市で開催された第46回日本脊椎脊髄病学会において船尾陽生君(80回)、名越慈人君(81回)、辻収彦君(82回)がEnglish Presentation Awardをトリプル受賞した。本学術集会は脊椎及び脊髄疾患の病態や治療の発展に広く貢献している権威ある学会で、現在の会員数は3,700名を超える。毎年、脊椎脊髄病に関する臨床・基礎研究が数多く発表されており、脊椎外科医にとって一年のうちで最も重要視する学会に位置付けられている。English Presentation Awardは研究者の国際化を図るために設けられた学会賞であり、今年は感染または外傷をテーマとして公募された。28演題の応募の中から9演題が最終候補者となり、そのうち5演題が受賞者として選出された。5演題中3演題を慶應大学整形外科が占めるという快挙となった。

船尾君は、 2008年から2012年まで当教室、微生物学・免疫学小安重夫教授研究室、病理学岡田保典教授研究室、ならびに明治大学理工学部相澤守教授研究室との共同研究で、手術部位感染症に対する抗菌生体材料の開発・研究を実施した。本研究において注目すべきは、ルシフェラーゼ発光を用いた生体発光イメージングにより、リアルタイムに細菌感染動態を観察できるマウス骨髄炎モデルを開発した点と、既存の生体材料にハイドロキシアパタイト、イノシトール6リン酸を介した特殊なコーティング法で銀イオンを担持させることにより、生体内で優れた抗菌効果を発揮する抗菌加工法を開発した点である。本抗菌加工法は、従来困難であった生体内の深部においても抗菌効果を発揮する画期的な手法であり、研究成果はすでに慶應義塾に譲渡され、日本ならびに国際の特許を所得している。今後脊椎外科領域のみならず、多種多様の生体材料への臨床応用が期待されている。

名越君は2014年から2年間トロント西部病院へ留学し、頚椎および脊髄の世界的権威であるMichael Fehlingsの指導の下で、脊髄損傷に対する細胞移植の基礎研究に従事した。トロント大学が企業と共同で開発した直接誘導型ヒト神経幹細胞は、iPS細胞のような万能性を呈する状態を介さないため、移植後の腫瘍化の危険性が低く、また体細胞からの誘導期間が2週間と非常に短いため、臨床応用へ向けて有用な移植ソースと考えられる。名越君は、この細胞を髄鞘の豊富なオリゴデンドロサイトへ分化誘導し、ラットの脊髄損傷モデルに移植した。その結果、移植した細胞は二次損傷を予防し、神経軸索を髄鞘化して運動機能の回復に寄与することが分かった。さらにこの細胞を移植して150日間経過観察したが、いずれの動物においても腫瘍化は認められなかった。以上より、有効性と安全性の両側面から、本研究に用いた細胞は将来的な臨床応用へ向けた新たなソースとして期待される。

辻君は2016年4月から6ヶ月間北海道美唄市の北海道せき損センターへ出向し、同センターの三浪明男院長、須田浩太副院長(共に北大整形外科)の薫陶を受け、平均すると3〜4日に1件のペースで救急搬送されてくる急性期脊髄損傷の実臨床に携わって来た。iPS細胞由来神経幹前駆細胞の臨床応用に向けて脊髄損傷の臨床的知識を深める日々の中、同センターで2006年〜2016年の期間に手術加療を受けた瀰漫性脊椎骨増殖症(DISH)に伴う頚椎骨折の臨床成績について解析した。38例の過去最大規模の症例数を解析し、特に搬送時運動完全麻痺例(ASIA grade A or B)の症例の術後予後と、受傷から手術迄の経過時間が相関することを見いだした。受傷後8時間以内に手術を行った群では有意に機能的予後が改善しており、非常に厳しいclinical settingではあるが受傷から8時間以内の早期手術が望ましい、と結論付けている。

今回のトリプル受賞は、いずれの成果も臨床に直結する重要な研究内容であり、その意義が高く評価されての受賞となった。今後の益々の発展を期待したい。(渡辺航太 76回)

写真コメント: 左から順に、名越慈人君(81回)、船尾陽生君(80回)、辻収彦君(82回)

写真コメント: 左から順に、名越慈人君(81回)、船尾陽生君(80回)、辻収彦君(82回)


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