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2016年

2016年12月01日

名越慈人(81回)、小倉洋二(84回)、 飯田剛(87回) 第31回日本整形外科学会基礎学術集会 最優秀演題賞、最優秀ポスター賞および優秀ポスター賞トリプル受賞

2016年10月13-14日に福岡国際会議場で開催された第31回日本整形外科学会基礎学術集会において名越慈人君(81回)が“直接誘導型ヒト神経幹細胞―脊髄損傷に対する細胞移植治療の新しいソース”で最優秀演題賞を、小倉洋二君(84回)が“思春期特発性側弯症発症の分子機構の解明”で最優秀ポスター賞を、飯田剛君(87回)が“脊髄損傷に対するヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞移植の安全性評価系の確立”で優秀ポスター賞を受賞し、1学会でトリプル受賞の快挙を成し遂げた。
日本整形外科学会基礎学術集会は日本整形外科学会が母体となり設立された学会で、整形外科分野(骨・軟骨・関節・神経・筋肉・靭帯など)における解剖、生化学、バイオメカニックス、代謝、再生、生体材料などに関する臨床・基礎研究が毎年発表される。現在の会員数は22,000名を超え、整形外科学の発展に広く貢献している権威ある学会である。最優秀演題賞は応募総数789演題の中から口演とポスター部門に各1名ずつ優れた業績を挙げた研究者に、優秀演題賞はそれに次ぐ業績を挙げた者に対して授与される名誉ある賞である。
名越君は2014年から2年間カナダのトロント大学へ留学し、頚椎と脊髄の世界的権威であるDr. Michael Fehlingsの指導の下で、脊髄損傷の細胞移植に関する研究に従事した。今回の受賞研究は、トロント大学が企業と共同開発して作製した直接誘導型ヒト神経幹細胞を用いた移植実験である。この細胞はiPS細胞のような万能性を呈する状態を介さず、直接体細胞から神経幹細胞へ誘導することが可能なため、誘導期間が非常に短くかつ導入効率が高い。この細胞をオリゴデンドロサイトが豊富に分化する条件で培養し、ラット損傷脊髄へ移植すると、宿主の神経軸索への髄鞘化と二次損傷の予防が促進し運動機能が回復することが分かった。さらに長期間移植しても細胞の腫瘍化は認めなかった。従って、有効性及び安全性の双方の点から、この細胞は臨床応用へ向けた移植治療における新たなソースとして大いに期待される。
小倉君は2012年から理化学研究所に国内留学し、池川志郎理研チームリーダー、松本守雄教授、渡辺航太講師の指導の下、思春期特発性側弯症(AIS)の原因遺伝子の解明を行った。小倉君は過去に原因遺伝子BNC2を発見し、2014年の同学会で優秀演題賞を受賞したが、研究をさらにつき詰めることで、AIS発症の分子機構を解明し、今回の受賞に至った。小倉君はBNC2遺伝子の第3イントロンにある一塩基多型、rs10738445は疾患群に多いアレル特異的に転写因子YY1が結合しやすくなり、同遺伝子の過剰発現が起きる事を解明した。BNC2の過剰発現がAIS発症のリスクであるという仮説を立て、ゼブラフィッシュで同遺伝子を過剰発現させて表現型を観察したところ、BNC2用量依存性にゼブラフィッシュの体幹変形が悪化する事を証明した。今回の発見は、AISにおける初めての分子機構解明であり、今後の新たな治療法の開発が期待される。
飯田君は脊髄損傷に対するヒトiPS細胞由来神経幹細胞(iPS-NS/PCs)移植療法の安全性についての研究を3年前より継続しており、今回はIntegration-free iPS細胞を用いて作成したiPS-NS/PCsについてのin-vitroとin-vivo解析についての結果を発表した。これまでiPS細胞作成の際の初期化因子がホストDNAに組み込まれることが造腫瘍性において問題となっていた。近年ではEpisomal vectorを用いて作成した安全性の高いIntegration-free iPS細胞が開発されており、臨床研究でもこのiPS細胞を用いることを検討している。本研究の結果から、Integration-free iPS細胞を用いたとしてもごく一部の細胞株では腫瘍化を認めることがわかったが、SNV解析、CNV解析、遺伝子発現解析、DNAメチル化解析を行った結果、数個のマーカーを抽出することに成功し、安全な細胞株を選定する評価項目として使用出来る可能性が示唆された。本研究を継続し再現性を高めることで、臨床応用へ向けたより高い品質管理が可能となるものと期待される。
今回のトリプル受賞は、いずれの研究成果も臨床に直結することから、その意義が高く評価されての受賞であり、今後の益々の研究成果の発展を期待したい。(石井賢 72回)

左から順に、飯田剛君(87回)、名越慈人君(81回)、小倉洋二君(84回)

左から順に、飯田剛君(87回)、名越慈人君(81回)、小倉洋二君(84回)


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