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2016年

2016年05月28日

川端 走野(86回)第43回国際頚椎学会(CSRS)Basic Science Award (First place) を受賞

2015年12月3日~ 5日にアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ Manchester Grand Hyatt Hotelで開催されたCervical Spine Research Society (以下CSRS) 43rd Annual Meetingにおいて川端走野君(86回)が、” Transplantation of human iPS cell-derived oligodendrocyte precursor cells enriched neural stem/progenitor cells in chronic and subacute spinal cord injury”の演題でBasic Science Award(First place)を受賞した。CSRSは、頚椎や頚髄に関わるさまざまな疾患や外傷の治療や診断に関する研究の国際的な情報交換の促進を目的として、1973年に設立された歴史ある国際学会であり、演題採用率は15%以下と極めて競争率も高く、学術的に権威のある学会である。本賞は毎年、脊椎脊髄の基礎研究において優れた業績をあげた研究者に対して与えられるものである。
 川端君は整形外科学教室、生理学教室との共同研究で、脊髄損傷モデルマウスに対するヒトiPS細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞移植の有効性を検証した。我々は2014年に、ヒトiPS細胞からオリゴデンドロサイト前駆細胞を多く含む神経幹細胞(human iPS cell derived oligodendrocyte precursor cell-enriched neural stem/progenitor cells 以下hiPS-OPC-enriched NS/PCs)へと分化誘導する方法を確立した。本報告では、亜急性期および慢性期脊髄損傷モデルマウスに対しhiPS-OPC-enriched NS/PCsを移植し、病理組織学的評価や運動機能評価、電気生理学的評価を行い、対照群と比較をした。病理組織学的評価の結果、移植時期に関わらず移植した細胞は成熟オリゴデンドロサイトに分化して、残存軸索を再髄鞘化していた。亜急性期に移植した群では運動機能や電気生理学的評価において有意な改善を認めたが、慢性期に移植した群では有意な機能改善に至らなかった。慢性期の損傷脊髄は高度に萎縮しており、損傷中心部にはグリア瘢痕が存在して神経の再生を阻害することが機能回復に至らない原因と考えられた。注目すべき点は、従来の分化誘導法を用いるとヒトiPS細胞由来の神経幹細胞は主にニューロンに分化し、オリゴデンドロサイトにはほとんど分化しなかったが、今回の研究で用いたhiPS-OPC-enriched NS/PCsは移植後に成熟オリゴデンドロサイトに分化して、再髄鞘化に寄与したことである。
 我々の研究室では、神経幹細胞移植、薬剤、さらにリハビリとの併用などによる脊髄再生研究を行っている。本研究の結果より、hiPS-OPC-enriched NS/PCsは幹細胞移植療法においてより有用な細胞供給源になり得ると考えている。川端君の研究成果が将来的に臨床応用され、脊髄再生医療の現場で大いに貢献することが期待される。
(中村雅也 66回)


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