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2013年

2013年08月05日

北村和也(81回)が米国脊髄損傷学会Best Poster Presentation Award を受賞

2013年5月6日~8日に米国Chicagoで開催されたAmerican Spinal Injury Association (ASIA 米国脊髄損傷学会)の記念すべき第40回 Annual Meeting において、北村和也(81回)が、“Intrathecal recombinant human Hepatocyte Growth Factor treatment for spinal cord injury in adult primate: past achievements and perspective for clinical trial”の演題にてBest Poster Presentation Awardを受賞した。
ASIAは、脊髄損傷モデルに対して重症度評価、新しい治療の確立とその有効性の評価、脊髄損傷を有する人々の社会生活の調査など、脊髄損傷に関する様々な臨床と基礎研究を牽引する世界随一の学会である。
肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor;HGF)は肝臓、腎臓、肺、心臓等の実質臓器においては、損傷後の臓器内で急激に発現が上昇するとともに、遠隔臓器からも血流を介して供給されることで、細胞保護・増殖、血液新生などを促進し組織再生に大きな役割を果たすことが知らされている。その一方で、損傷脊髄内ではHGFの発現上昇は非常に緩やかであり、かつ血液を介してHGFは供給されないことを岩波明生(77回)が明らかにした。そこで北村らはラット胸髄損傷モデルに対してウイルスベクターを用いてHGFを髄内に供給することで有効な治療効果が得られる事を報告し、さらには前臨床試験として霊長類コモンマーモセッと頚髄損傷モデルに対し、損傷後より髄腔内にrecombinant human HGF(ヒト組み換えHGF蛋白)を持続投与することでも損傷範囲が縮小し、良好な四肢運動機能回復が得られることを明らかとした。これは霊長類脊髄損傷後モデルに対する薬物治療の有効性を世界で初めて報告した研究であり、これまでにもSRS(国際頚椎会)やORS(米国整形外科基礎学会)において権威ある賞を受賞している。しかしながら、臨床試験を開始するまでには薬物の最小有効濃度やtherapeutic time windowの検討など、学術論文にはし難いが乗り越えなければならない検討項目が数多く存在する。これまでの研究結果に併せて、臨床研究試験開始へ向け具体的に積み上げてきた“from bench to bedside”の過程を報告したことが今回の受賞につながったものと考えられる。
ヒト組み換えHGF蛋白を髄腔内投与する本治療は東北大学神経内科で筋萎縮性側策硬化症(ALS)を対象とした臨床研究が既に始まっており、脊髄損傷に対しては、損傷後急性期に「いつでも どこでも、だれにでも」開始できる治療として、臨床試験を開始すべく最終段階に入っている。損傷後急性期にはHGFを用いた薬物治療を行い、近い将来に実現されるであろう細胞移植治療を確立できるものと考えられる。

北村和也(左)

北村和也(左)


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